中学校の授業風景
12月13日(金)
現在,MREスタッフは各地の小中学校をまわって子どもたちに地雷・不発弾危険回避教育を行っておりますが,ちょっと他の教室をのぞいてみるといろいろな教科の授業の様子を見ることができます。以前,「カンボジアの教育問題」と題してカンボジアの義務教育課程(特に中学校)の数学・理科の内容が難しすぎるのではないかということを書きましたが,今回はその中学校の授業風景をお伝えいたします。
どんな授業をしてるかちょっとのぞいてみましょう。
英語の授業。列ごとに生徒を立たせ,発音練習。先生「一緒に発音しましょう。ビユーティフォー」。生徒(一斉に)「ビユーティフォー」
数学の授業。先生が黒板に書いた問題を生徒が前に出て解答します。
電卓を持っている生徒は電卓を持ち出して計算します。まわりの生徒はその恩恵にあずかります。まずは自力でやって計算力を身に付けた方がいいと思うんだけど・・・。
黒板に書かれた内容をノートに写します。自分の教科書を持っていない生徒がほとんどなので,このノートが彼らの教科書となります。
ノートをとるのが遅い生徒は早く終わった生徒のノートを写させてもらいます。
生物の授業。光合成の化学反応式「6CO2+12H2O → C6H12O6+6O2+6H2O」を黒板に書こうとしています(中学校でそこまでやるか!?という突っ込みはひとまずおいておきます)。式を思い出せなくて前で固まってしまった仲間に「そこは6だよ」「いや違うよ」などと教室のあちこちから声が飛び交います。
「誰かできる奴はいないか?」と先生に促され,「俺がやるよ」と男子生徒が前に出て女子生徒の代わりにあれこれ悩みながら,そして皆の声援(やじや助言)を受けながら何とか解答。ようやく得られたその正解を皆が見届けると「お~」という歓声と拍手が沸き起こりました。
補習授業(物理)。午前の授業は11時までで,ほとんどの生徒は一旦家に帰りますが,希望者は残って補習授業を受けます。ただし,受講料は500リエル(金額は学校による)。お金のない生徒は受けられないですが,お金を持ってる生徒は払って受けます。先生にとっては勤務時間外での小遣い稼ぎ。カンボジアではごくごく普通の慣習です。
※カンボジアの中学校理科は日本の高校のように物理・化学・生物・地学の4分野に教科が分かれています。
5年前,私が初めてカンボジアの中学校の授業を見たとき,単調で一方的で何ともつまらない授業をしているなという印象を持ちましたが(その時はプノンペンの中学校でしたが),こうして改めて見てみると,実に生き生きと先生が生徒とともに授業を作り上げている様子が見てとれました。内容が難解すぎたり学習進度がはや過ぎたりで,どうしても教科書の記述や公式の丸暗記が授業の基軸になりがちなのが残念ですが,けっこう楽しい授業してるな・・・と印象がちょっと変わりました。
「授業を通して生徒たちがどんな力をつけたか,どれだけ力をつけたか」という点も気になるところです。今後また授業を見る機会があれば,その点にも注目してみていきたいです。
真剣に数学の問題を解く様子。
隣同士で教え合いながら,問題に取り組んでいます。
文責:曽田実
2013年12月17日更新