地雷撤去の現場

人の手で行われる作業

よく、「機械で一気に撤去したら早いのでは?」という質問があがる。確かに地雷除去機の開発により格段に作業スピードは上がることになったが、地形・地盤の状況によっては機械が入ることのできない地域は多い。カンボジアも亜熱帯地方なだけに、多くの樹木が茂り密集している。
また、地雷撤去後の土地で安心して生活するためには1%の危険もあってはならない。「だいたい撤去したからたぶん大丈夫だろう」と言われた場所に、あなたは入って生活できるだろうか?人による慎重なチェックと除去による100%の安全を確保する撤去作業が不可欠なのである。
気温40度に近い猛暑の中ヘルメットとプロテクターを身につけ、一瞬の気も抜けない命がけの作業をディマイナー(撤去隊員)たちは毎日続けている。

地雷撤去の流れ

1.地雷原のマーキング

地雷原のマーキング

どこが地雷原でどこが安全な場所なのか、どこまで地雷除去が終わったのかなど明確にするために標識を立てるなどマーキングを行なう。

2.灌木(低木)、雑草の処理

灌木(低木)、雑草の処理

カンボジアの地雷原は木や草が密生している場所であることが多い。地雷除去を安全に確実に行なうためにまず低木の伐採、枝払い、草刈りをして地面が見える状態にしなければならない。地雷は地中に埋められているだけではなく地上に設置されていることもある。安全な場所から地上に地雷がないかどうかを見極めつ慎重に作業が行なわれる。地雷除去作業の実に7割から8割が灌木、雑草の処理 に費やされる。ワイヤートラップが幾重にも仕掛けられた地雷もあるため、作業は慎重に行われる。

3.金属探知機による探査

金属探知機による探査

金属探知機を用いて土の中の金属反応を調べる。地雷探知機ではないため、地雷だけではなく銃弾や破片、鉄くずなど様々な金属に反応する。金属反応があったとしても地面の下は見えないので、この段階では地雷かただの金属片なのかはわからない。すべてを地雷とみなして慎重に作業を行わなければならない。2004年ボップイ村での撤去作業では、80発の地雷・不発弾に対し50,000個以上の金属片が発見されている。これが地雷撤去作業のスピードを妨げている原因の一つである。

4.地中探査

地中探査

金属探知機で反応があったところをマーキングする。地中の金属反応が地雷なのかただの金属片なのか探査する。地雷が発見されれば地雷を示すマーキングを行なう。状況に応じてその場で爆破処理か、他の場所へ移してまとめて爆破処理をする。

5.爆破処理

爆破処理

発見された地雷を爆破処理する。地雷を誘爆させるために火薬と雷管をセットして導線を引き、安全のために離れた距離から起爆装置で爆破する。