「地雷を見たことがある人」の問いかけに,数名が手を上げました。その子たちが見たものが本当に地雷だったのかどうかは定かではありませんが,カンボジア,特にバッタンバンに住む子どもたちにとって地雷はとても身近な存在であるということがよく分かります。
とはいっても,地雷を見たことのない子にとっては,話を聞くだけではなかなかイメージがわきにくいものです。そこで,視覚教材としてポスターを見せながら説明しました。皆興味津々でポスターに見入ってました。
ポスターを使って説明しています。左がラブット,右がソカー
地雷を見たことがあると言っていた女児。自分が見たものがこの中にあったのでしょうか。
ポスターだけでも,子どもたちの興味を十分に引き付けていたのですが,今回,さらなる秘密兵器を投入しました。
地雷模型です。これが登場した瞬間,いっきに子どもたちの目がこの目新しい物体に釘付けになりました。
身を乗り出して模型に釘づけ。恐ろしいほどに興味津々。分かりやすい反応をありがとう。道端で見つけても絶対触るなよ!!
この地雷模型の使用については賛否両論あるようです。それは,この地雷模型が地雷のイメージを喚起しやすく,地雷を理解するのに非常に効果的な教材である反面,幼い子どもにとってはきちんと理解しないまま,印象だけが残り,実際に同じものを見つけたときに,「あっ,あのときのだ!!」といって触ってしまうという危険性を秘めているというものです。
CMACの指導者からは,「使うか使わないかは,人による。一概にどっちが良いとは言えない。」という風に言われており,今回我々は使う方向で考えてきました。授業の中で,トレーナーは繰り返し「絶対に触ってはいけない!!」と強調しています。ほとんどの子はそれをきちんと理解している様子でしたが,はたしてこの写真の子がどれだけこれを危険なものとして理解しているか定かではありません。この写真の子は後日,改めて特別指導をする必要があるかもしれません。
やはり,子供の発達段階に応じたカリキュラムを作り,きめ細かい指導で子どもに理解させる仕組みがほしいところですが,小学1年生だけを集めたとしても,いろんな年令の子が混在するようなこの国で,それはなかなか難しいこと。就学年令に達していない近所の子が窓の外から覗いていることもよくあるし・・・授業中犬ものこのこ入ってくるし・・・。
とりあえず,我々は与えられた条件の中でできることをやっていくしかないです。
12日(月)より,学校に行っていない子どもを対象に各村でMREを開始します。それに向けた打ち合わせの中で,MREトレーナーにもこの写真を見せ,模型を使うことの功罪についてを改めて話し合いました。一応,当初の予定通り,模型を使用した指導をしていきますが,場合によっては(例えば幼い子ばかりの集団なら),使わないことも検討・決断しなければならないでしょう。
文責:曽田実