活動予定

地雷危険回避教育プロジェクト⑥******

8月12日(月)

前回のボップイでの練習を経て,12日(月)より,予定通り学校へ行っていない子どもを対象としたMREが始まりました。「学校に行っていない子どもたち」ですが,集まってもらうのは学校です。

ラタナックモンドル郡にあるプチエウ小学校でのMREの様子。学校に行っていない子どもたちが対象なのですが,普段学校に行っている子たちもいっしょに参加しています。

ラタナックモンドル郡にあるプチエウ小学校でのMREの様子。学校に行っていない子どもたちが対象なのですが,普段学校に行っている子たちもいっしょに参加しています。

お姉ちゃんに連れられて(?)未就学年齢の子も参加しています。

お姉ちゃんに連れられて(?)未就学年齢の子も参加しています。

ふと気が付くと,近所の犬(年齢・学年不詳)もさりげなく参加しています。

ふと気が付くと,近所の犬(年齢・学年不詳)もさりげなく参加しています。

教室に入ろうかどうしようか迷っている者もいます。「入っとく?」「いやぁ,ちょっと今は入りずらいな・・・」

始まったばかりでまだ手さぐりな部分が多いですが,まずは順調なスタートが切れたといっていいでしょう。

さて,今回のレポートでは,順調にスタートを切った子どもたちへの教育活動からは少し離れ,スタッフの現地での宿泊事情について触れようと思います。

MREスタッフの2人,ソカーとラブットが泊めてもらっているお宅。ごくごく一般的な高床式のお家です。

MREスタッフの2人,ソカーとラブットが泊めてもらっているお宅。ごくごく一般的な高床式のお家です。

このMREプロジェクトの活動場所は基本的に田畑,山林に囲まれた町外れの田舎(超ど田舎)です。当然ゲストハウスなどありません。したがって,スタッフは現地で協力してくれるお宅を探し,そこに泊めてもらいながら,4日から5日かけて1つの地区内をまわらなければなりません。つまり,活動をする上で,現地の村人の協力は不可欠なのです。

私は当初,このことについてはかなり楽観視していました。「小さい家は無理としても,普通の家であれば4,5日程度なら快く泊めてくれるだろう」と。地雷撤去団体のCSHDも地方で活動する際,民家に泊めてもらっているようですし,個人的な話になりますが,私が過去に田舎を訪れたときの経験からも,何の問題もないだろうと思っていました。

わたしは自転車で遠出するのが好きで,暇なときはよく自転車で遠出します。安全上の問題を指摘されるかもしれませんが,2年半ほど前,カンボジアで2番目の世界遺産プレアヴィヒア寺院に自転車で遊びに行ったときのこと。夕暮れ間際,寺院の近くで村人からこの辺りにゲストハウスがないことを聞かされ(あると思い込んでいました),集まる村人たちに囲まれながら(誰か泊めてくれないかなと内心期待しながら)途方に暮れていたところ,「しょうがないね。私の家に泊まりなさい。」という流れで,ある軍人さんのお宅に泊めてもらうことになりました。布団を用意していただき,晩ご飯,朝ご飯もごちそうになるなど,大変お世話になってしまいました。「もうちょっとゆっくりしていっていいよ」とも言われたのですが,他に行くところもあったので,「ありがとう」と言って別れました。※私がここを去ったちょうど一カ月後,タイと衝突。死傷者も出たという・・・この軍人さんやご家族は大丈夫だったのかな・・・

また,ポートサット州にあるカンボジア最高峰アオラル山の麓まで自転車で遊びに行ったときのこと。ちょっと道を尋ねただけでしたが,「疲れてるだろうから,あがって休みなさい」と言われ,お茶もよばれちゃいました。

アオラル山麓の村の一家。お父さんの後ろにいる男の子は私を見るなり「お父さんフランス人が来たよ」と言ったらしい。どうやら私は,フランス人っぽい顔立ちのようです。カンボジアがかつてフランスの植民地だったことは関係ないはず・・・。

アオラル山麓の村の一家。お父さんの後ろにいる男の子は私を見るなり「お父さんフランス人が来たよ」と言ったらしい。どうやら私は,フランス人っぽい顔立ちのようです。カンボジアがかつてフランスの植民地だったことは関係ないはず・・・。

何の本だったか雑誌だったか忘れましたが,カンボジアの田舎の人はとてもおおらかで,知らない人が突然訪れたとしても,「やあ,いらっしゃい」と言って迎えてくれると書いてありました。私はいろんな田舎を訪れる中で,まさにその通りだなと実感していたわけです。

ところが,ソカーとラブットは受け入れ民家がなくて,あちこち探しまわったというのです。ラブット曰く,「カンボジア人は,よそ者を毛嫌いする(警戒する)んだ。だから,俺たちを快く受け入れてくれるところがなかなか見つからなくて大変だったよ。」とのこと。受け入れてくれるところはあるにはあるが,泊めてもらって,夕ご飯までごちそうになるということに申し訳なさを感じ,肩身の狭さも感じているようでした。

このことを,別の知り合い(カンボジア人)に話したところ,「そりゃそうだろうな(知らない人は歓迎されない)」という答えが返ってきました。そうか・・・。じゃあ,私が抱いていた幻想は何だったんだ・・・?

我々は(と言っては語弊があるかもしれませんが),とかく人や物事の一面を見て,すべてを知ったように錯覚してしまいがちです。「カンボジア人は・・・」のような表現をよく見聞きします。「カンボジア人とはこうだ」と決めつけて接しているわけではありませんが,そういう風に言われるとなんとなくそんな気がするし,そういう風な目で彼らを見てしまいがちになります。ただ当てはまる点が多々あるのも事実。参考にしつつも,鵜呑みにはしないよう気をつけようと思うしだいです。

さて,ソカーとラブットは宿探しに苦労はしているようですが,受け入れてくれるところが全くないわけではないです。彼らには,これも仕事だと思って頑張ってもらうしかないです。

〈補足〉

宿泊に際して,1人一泊2ドルの謝礼を受け入れ民家にお渡ししています。カンボジアで最も安いゲストハウスが一泊4~5ドルということを考えれば,2ドルでしかも食事付きで泊めてくれというのはやや厚かましい気もしますが,地雷撤去団体CSHDの民家での宿泊代(食事はなし)が,20日で30ドル(らしい),というのも参考にして,このように設定しています。いずれにせよ,地域住民の協力は不可欠です。願わくは,ラブットとソカーにはがんばってもらい,そしてこのホームステイを楽しんでもらい,できるだけ少ない経費でみんなが気持ちよく過ごしてくれればと思うしだいです。私が一番厚かましいのかも・・・。

 

文責:曽田実

2013年8月26日更新

地雷危険回避教育プロジェクト⑤******

8月8日(木)

前回,CMACと各村の村長さんや小学校の校長先生とで地雷の危険性への認識が違うのではないかということを書きました。今回はまず,そのことについて書きます。その後,ボップイ小学校でのMRE実践演習について報告いたします。

村長さんたちが「以前は地雷事故があったけど,今は撤去されて安全だ」と言っておられるのは,正確には「村人が生活したり農業を営んだりする場所はすべて撤去済みであり,この範囲内で活動する限りは大丈夫だ」ということであり,さらに「地雷が撤去されてない場所はまだ残っているが,村人もそれを分かっていてあえてそこに足を踏み入れるようなことはしない」ということのようです。

要するに,「地雷は残ってはいるけど,事故の心配は今のところない」というのが多くの村長さんたちの主張です。確かに,近年地雷事故の数は大幅に減少しているし,村人たちが気を付けているということであれば,村長さんたちの認識は間違いではないでしょうし,以前の悲惨な状況からすれば,状況は大幅に改善され,安全になったと言えるでしょう。ただ,土地を求めて移住する人も多いことを考えると,地雷がまだ残っている以上住民への周知は必要であり,つまりはMREが必要であると言えるでしょう。

さて,12日(月)からいよいよ村に出向き,学校に行っていない子供たちを対象としたMREを開始する運びとなりました。それに先立って,まずは本番に向けた練習をしておこうということで,8日(木),ボップイ小学校にて子供たちを前にMREの実践演習(いわゆる教育実習)をさせてもらいました。

「1年生手を挙げて」と言っているときの様子。年齢にかなりはばがあるのだ分かります。手前がボップイ小学校のソナー先生。

「1年生手を挙げて」と言っているときの様子。年齢にかなりはばがあるのだ分かります。手前がボップイ小学校のソナー先生。

「地雷を見たことがある人」の問いかけに何にか手が上がりました。

「地雷を見たことがある人」の問いかけに何にか手が上がりました。

「地雷を見たことがある人」の問いかけに,数名が手を上げました。その子たちが見たものが本当に地雷だったのかどうかは定かではありませんが,カンボジア,特にバッタンバンに住む子どもたちにとって地雷はとても身近な存在であるということがよく分かります。

とはいっても,地雷を見たことのない子にとっては,話を聞くだけではなかなかイメージがわきにくいものです。そこで,視覚教材としてポスターを見せながら説明しました。皆興味津々でポスターに見入ってました。

ポスターを使って説明しています。左がラブット,右がソカー

ポスターを使って説明しています。左がラブット,右がソカー

地雷を見たことがあると言っていた女児。自分が見たものがこの中にあったのでしょうか。

地雷を見たことがあると言っていた女児。自分が見たものがこの中にあったのでしょうか。

ポスターだけでも,子どもたちの興味を十分に引き付けていたのですが,今回,さらなる秘密兵器を投入しました。

地雷模型です。これが登場した瞬間,いっきに子どもたちの目がこの目新しい物体に釘付けになりました

身を乗り出して模型に釘づけ。恐ろしいほどに興味津々。分かりやすい反応をありがとう。道端で見つけても絶対触るなよ!!

身を乗り出して模型に釘づけ。恐ろしいほどに興味津々。分かりやすい反応をありがとう。道端で見つけても絶対触るなよ!!

この地雷模型の使用については賛否両論あるようです。それは,この地雷模型が地雷のイメージを喚起しやすく,地雷を理解するのに非常に効果的な教材である反面,幼い子どもにとってはきちんと理解しないまま,印象だけが残り,実際に同じものを見つけたときに,「あっ,あのときのだ!!」といって触ってしまうという危険性を秘めているというものです。

CMACの指導者からは,「使うか使わないかは,人による。一概にどっちが良いとは言えない。」という風に言われており,今回我々は使う方向で考えてきました。授業の中で,トレーナーは繰り返し「絶対に触ってはいけない!!」と強調しています。ほとんどの子はそれをきちんと理解している様子でしたが,はたしてこの写真の子がどれだけこれを危険なものとして理解しているか定かではありません。この写真の子は後日,改めて特別指導をする必要があるかもしれません。

やはり,子供の発達段階に応じたカリキュラムを作り,きめ細かい指導で子どもに理解させる仕組みがほしいところですが,小学1年生だけを集めたとしても,いろんな年令の子が混在するようなこの国で,それはなかなか難しいこと。就学年令に達していない近所の子が窓の外から覗いていることもよくあるし・・・授業中犬ものこのこ入ってくるし・・・。

とりあえず,我々は与えられた条件の中でできることをやっていくしかないです

12日(月)より,学校に行っていない子どもを対象に各村でMREを開始します。それに向けた打ち合わせの中で,MREトレーナーにもこの写真を見せ,模型を使うことの功罪についてを改めて話し合いました。一応,当初の予定通り,模型を使用した指導をしていきますが,場合によっては(例えば幼い子ばかりの集団なら),使わないことも検討・決断しなければならないでしょう。

文責:曽田実

2013年8月9日更新

地雷危険回避教育プロジェクト④******

選挙も終わり,ここから一気に調査を進めていきたいところ。
今週もMREスタッフたちによって,ラタナックモンドル郡内の各村の村長さんや学校の校長先生に電話をかけ,地雷被害の状況や子供の数などの情報を収集しました。

スタッフの作業風景。左から,ダラ,ソカ,ラブット。各自役割分担をして,情報収取および集計をしています。

スタッフの作業風景。左から,ダラ,ソカ,ラブット。各自役割分担をして,情報収取および集計をしています。

この調査において,かなり多くの地域から以前は地雷事故があったけど,今は撤去されて安全だ」という回答がかえってきました。

これはちょっと意外でした。

そもそも,我々は当初CMACから,「ラタナックモンドル郡の多くの地域に地雷被害の危険性が残っており,MREが必要だ」との説明を受けていたからです。

この認識の違いはどこから来るのでしょうか。

確かに,CMACをはじめMAGやJMAS,CSHDなどが地道に撤去作業を続けており,年々安全な場所は増えてきています。
しかし,その情報はきちんと整理されたうえで,住民に伝えられているのでしょうか。

本当に安全ならそれは非常に喜ばしいことですが,「これでもう大丈夫だろう」と高をくくっているのであるとすれば,それこそ,本当に危険です。こういう認識の違いがあることからも,少なくとも私は,住民が安全だと言っている場所でも安心して足を踏み入れる気にはなれません。

ここのところはCMACにもう一度きちんと確認をしようと思います。

さて,バッタンバン州の調査も一通り終わったので,金曜日,今度はバッタンバン州の西側,タイ国境沿いにあるパイリン州の調査をすべく,ラブット君に州の教育局に活動申請に行ってもらいました。

ラブット君からの報告で,教育局長曰く「ここ(パイリン)は,地雷被害が大変多く,子どもたちもたくさん被害に遭っている。そしてまだまだたくさんの地雷が残ってる。ぜひMREをやっていただきたい」とのこと。

次週は,パイリン州の調査を行う予定です。

それに先立って,週末パイリンにぷらっと遊びに行ってきました。(調査半分・気晴らし半分)
カンボジア中央の平野部とはまた違った山あいののどかな農村風景を満喫してきました。本当にいいところでした。(遠くから見る分には・・・)

パイリンの農村風景。肥沃な大地が一面に広がっています。ここに悪魔が潜んでいる!?

パイリンの農村風景。肥沃な大地が一面に広がっています。ここに悪魔が潜んでいる!?

路上で牛がたたずんでいます。なんだか癒されます。

路上で牛がたたずんでいます。なんだか癒されます。

イモ畑。赤い立札はは地雷ありの看板。住民曰く,「地雷はもうない」とのこと。本当に!?

イモ畑。赤い立札はは地雷ありの看板。住民曰く,「地雷はもうない」とのこと。本当に!?

文責;曽田実

2013年8月6日更新

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