3月上旬、暑さも日に日に増していく中、6月の放送開始に向けて準備に取り掛かった。
まずは、手紙・詩の記入用紙の配布作業から始めた。バッタンバン州、バンテアイミエンチェイ州の障害者の多く暮らす各種NGOの施設に足を運び、手紙・詩の記入シートを1人ずつ手渡ししていく。施設だけでなく、村で暮らす障害者にも配布していった。中には、字が書けない人もいる。それでも、「大丈夫、誰かに頼んで書いてもらうから。僕もぜひこの番組に参加したいんだ。」と、自分の奥底に秘めている気持ちを伝えようとする姿勢に、熱いものを感じた。配布から約1ヵ月後、続々と記入されたシートが回収された。
|
CMCスタッフの説明に真剣に耳を傾ける |
切実な思いの綴られたシート |
インタビュー・録音も同時に進めていった。障害者の方は事故に遭った経緯、その後の生活、今どのようなことにチャレンジしているか、同じ境遇にある障害者へ伝えたいこと等を答えてくれた。各NGOには団体の活動、障害者に対して、どのような支援をしているかを応えて頂いた。半年間の放送で、35名の障害者の声とNGO6団体の活動が視聴者に届くことになる。 |
|
障害者にバイク修理や裁縫等の技術支援を行っている職業訓練施設CWARSでは、施設代表、訓練中の生徒の希望により、公開インタビューとなった。番組に出演したい方の希望をとり、インタビューを行ったのだが、途中でつらかった日々を思い出し、涙する方までいた。この切実な思いをリスナーに届けるため、様々な施設を連日訪問した。 |
MAG地雷撤去員へのインタビュー |
O.E.C責任者へのインタビュー |
番組広報のためのポスター作製に取り掛かる。人目につくことを意識し、少し派手な色使いにした。最終仕上げはPOLYTEBNIC INSTITUTE
OF BATTAMBANG PROVINCE(バッタンバン州職業訓練センター)に依頼し、デザインの完成まで、何度も足を運んだ。ポスターの印刷はJAPAN
PRINTING HOUSE様に格安で引き受けていただいた。JAPAN PRINTING HOUSE様には毎年、「VOICE OF HEART」のポスター印刷に協力して頂いている。 |
ポスターのモデルに協力していただいたモア・ラタナック君(11歳)。
彼はカンボジア第2の都市であるバッタンバン州の中心に流れる川で事故に遭った。我々CMCの現地事務所から歩いて5分の距離である。現在は、市内にある教会に住まい、勉学に励んでいる。
*ラタナック君の詳細につきましては2007年由見裕也の現地報告3「後を絶たない地雷・不発弾被害@」をご覧ください。
|
|
完成したポスター、ちらしを引き下げ、広報活動へと走った。公立学校を中心にポスターを貼っていくため、バッタンバン州、バンテアイミエンチェイ州、パイリン特別市の教育局に出向き、許可証を交付していただいた。 |
ポスターを貼ると、子どもたちが興味深げに覗き込んでくる。「この子は障害者なの?」という質問にすかさず「地雷って知ってる?」と問いかける。存在を知ってはいるが、あまり危険視していないように感じられる場面が多々あった。このように、宣伝という意味だけではなく、地雷問題について学ぶきっかけを与えることも番組制作の一つのテーマである。ここで、問題意識が芽生えれば、障害者に対する差別の軽減につながるのではないかと考えられる。 |
|
|
学校だけでなく、各種NGOや街中にもポスターを貼っていく。ある施設では去年の番組を聞いたことのある障害者の方がいて、「今年もやるんだね、絶対聞くよ!」と声を掛けてもらった。このように、「VOICE
OF HEART」を待ち望んでくれている人がいる。その思いに応えるため、厳しい日差しを受けながら、1枚ずつ自らの手でポスターを貼って行った。 |
|