カンボジア地雷撤去キャンペーン
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 2月23日(月) キリング・フィールド
キリングフィールドは、プノンペン中心部から南西へ12kmに位置するチュンエク村にあった。街の喧騒とは程遠いとても静かな場所に「Choeung Ek Genocidal Center」はその姿を忽然と現した。

ポルポトは、トゥールスレン収容所で「自白」した知識層の人々(先生・医師・政府役人・外国語が出来る人は「ソフトハンド(肉体労働をしていないので手が柔らかい)」=「知識人」)をこの村に連行して次から次へと「破壊」(=殺戮)した。チュンエク村は、ポルポト派にとって安全で静かな場所であったため、大量殺戮の秘密を守るのに好都合だという理由で選ばれたエリアである。
ポルポトは、トゥールスレン収容所で「自白」した知識層の人々(先生・医師・政府役人・外国語が出来る人は「ソフトハンド(肉体労働をしていないので手が柔らかい)」=「知識人」)をこの村に連行して次から次へと「破壊」(=殺戮)した。チュンエク村は、ポルポト派にとって安全で静かな場所であったため、大量殺戮の秘密を守るのに好都合だという理由で選ばれたエリアである。
左:遺体を埋めた穴 右:慰霊塔
トゥールスレン収容所での監禁拷問の際、囚人に与えられたのはうすいお粥のみだったという。これは逃亡する体力を奪うことと、殺害する際に出血が少ないことを目論んでのことだ。
処刑の方法は様々だが、一番多かったのは撲殺である。ポルポト派の兵士が3人1組となり、一人が囚人に目隠しをして後ろ手に縛り、大きな穴の前に座らせて撲殺し、そのまま穴の中へと落とし込む。一人が穴に落ちた囚人の死を確認し、まだ息のあるものは首を切って絶命させる。もう一人は囚人が逃げ出した際に銃で撃ち殺すという役割を持ち、「誰一人として逃げられない」「確実に“破壊”する」システムを作った。
また、カンボジアの国の木であるサトウヤシののこぎり状の葉で首を切ったり、斧や竹の棒を使ったりして殺害し、死体を穴に落とし込み、土をかぶせて埋めた。遺体を埋めた穴は全部で129箇所あり、そのうち86箇所が発掘され、現在8985柱の犠牲者が確認されている。まだ1万人ほどの遺骨が発掘されないまま地中に埋まっているのだ。穴には、「450名の犠牲者」「頭部のない160名の犠牲者」「裸の女性と子どもたち」などの看板が掲げられたものもあった。子どもたちの多くは、チャンキリ(=killingを意味する)の木に頭部を打ちつけられて殺された。犠牲者の叫び声や悲鳴をかき消すべく、音楽を大音量で流すためのスピーカーを吊るしたシュロの木もあった。この世の地獄が毎日300人の命を奪ったと言う。
私たちが歩く小道には、人骨や衣服の一部が露出している。立ち木の根元にはいたるところにまるで石や木の枝のように人骨が転がっており、犠牲者の衣服の布きれが散乱していた。踏まずには歩けない…胸が締め付けられるような苦しさが込み上げてきた。
1988年に建立されたThe Memorial Centerと書かれた慰霊塔(ストゥーパ)には、8985柱の頭蓋骨が祀られている。頭蓋骨一つ一つにはあたりまえのように人格があり、普通の生活があり、輝かしい未来があったはずなのだ。しかし、頭蓋骨に刻まれた生々しい傷跡がポルポト派による狂気の殺戮を物語っていた。
慰霊塔の尖塔はカンボジアの真っ青な空に突き刺さり、犠牲者の無念の思いを訴えかけているかのように感じた。
ガイドさんが語った言葉が印象的だった。「ポルポトはヒトラーよりも野蛮です。無実の、しかも自分の国の同胞を殺したのですから。」これらの事実は後に映画の舞台にもなったが、
映画「キリングフィールド」のエンディングに流れたJohn LennonのImagineが私の頭の中でぐるぐると流れた。
Imagine all the people living life in peace …
 映画のモデルとなったディス・プラン氏が1年前の2008年3月31日に亡くなった。彼はその死の間際、
「カンボジアで起きた悲劇は二度と繰り返してはならない。その願いが叶うなら私は安らかに眠れるだろう。自国の同胞を、それも子ども、女性、老人まで無差別に殺すことができたKhmer Rouge政権の心理は、理解を超えるもの。公の審判の場で責任者たちからその理由を聞くこと、そして正しい判決が下されることからしか、虐殺の記憶を持った者の傷は癒えることはないだろう。」
と語り、ポルポト裁判の行方を見ることなく天国へと旅立った。
私たちはキリングフィールドをまさしく痛感した。そして決意した。どんな理由や思想が背景にあったとしても、大勢の人の命をこれほどまでに軽く扱い、その未来までも奪うことは決して許されない。二度とこのような不条理がこの地球上で繰り返されないためにも、私たちが体感した真実をできるだけ多くの人に伝え、平和の大切さと命の尊さをアピールしていかなければならないと…。


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