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 2月22日(金) 第五軍病院
ツアー第6日目、国立のカンボジア軍が運営する「第5軍病院」へ訪問した。建物は平屋の1階建てで屋根はトタン。ここは本当に病院なのだろうかというような造りである。ドクターは軍医であるが、軍人だけでなく現在はこの地域周辺の貧しい人々の治療にも当たっている。現在のベッド数は200、医師は13名、48名のメディカルアシスタント、100名の看護師で構成されている。

はじめに、病院側からブリーフィングを受ける
現在の重要な問題はHIV患者の増加である。軍人が敵地に赴き、そこでセックスワーカーの女性と関係を持ちHIVに感染する。それを家庭に持ち帰り妻に感染、その後妊娠、出産により子供へ感染するのが典型的なパターンである。
現在この病院にはHIV/AIDS患者が330人おり、彼らには全員薬が渡されている。また、うち入院患者は30人である。ここでは無料で治療を受けることができるが、薬剤不足、患者の増加が深刻な問題になってきている。
2007年に第5軍病院または軍隊で1473人が血液検査を行い、うち79人がHIVに感染していた。しかし、病院まで来ることができない人やHIVの知識が無く検査を受けようと考えも無い人など、検査を受けていない人の数が多くHIV感染者数は不明である。だが、2007年度の入院患者数は61名、体調が良くなり、退院した人は58名、死亡者数は5名と治療と指導の成果が顕著に現れている。


第五軍病院の前で医師達と
この第5軍病院では毎週金曜日午前9時からHIV患者に日常生活の指導や服薬の指導、カウンセリングを行い、希望を持たせるようなミーティングが行われている。そこでHIVやエイズに関するクイズを行い、成績優秀者には洗剤や歯ブラシなどの景品がもらえるようなイベントがあったり、無料でコンドームがもらえる。
私たちは、ちょうど行われていたそのミーティングで何人かの患者にインタビューを行った。

父 OUM RA(オム・ラー)さん(47歳)元軍人
母 TEP VAN(テ・ヴァン)さん(47歳)
子 OUM SOVAN(オム・ソワン)くん(11歳)
父親が戦争に赴いた国境付近で感染、妻へ感染し、子供に母子感染。子供は体調が悪く3日前に検査を受け陽性が発覚した。目がくぼみうつろな生気のない顔つき、痩せておりAIDS発症が確実に見て取れる。見た目は6歳くらいにしか見えないほど小さい。父親は結核も併発しており危険な状態だ。
BEN SERTH(バエン・スー)さん(33歳・男性)元軍人

2000年5月に検査し発覚。やはりセックスワーカーとの性交渉により感染。しかしAIDSに対する彼の認識は私たちが考えているものと大きく異なった。彼は平然と「HIVは風邪などと同じありふれた病気。感染がわかってもおどろいたりしない。風邪でも死ぬ人がいるんだからHIVでも同じだ。コンドームを使用すれば95%うつさないのだから今もコンドームを使用してセックスしているよ」と話していた。

バエン・スーさんから投げかけられた質問に、
私たちは驚きを隠せなかった
彼はHIV、エイズに対して何の恐れも後悔も恥ずかしさもない。また彼は我々に次のような疑問を投げかけてきた。
「日本ではHIV感染者は差別を受けるのか」日本では差別がある、と答えると「日本はHIVに関する認識が遅れているのではないか」という答えが彼から返ってきた。
エイズは恐くないと言い切れるような病気ではない。もしエイズが風邪と同じような病気と考えられているのが一般的であるならば、それがエイズが蔓延するひとつの原因であるのかもしれない。

インタビューが終わり、CMCそして大阪ワイズメンズクラブよりこのミーティングの場で支援金が手渡された。
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