カンボジア地雷撤去キャンペーン
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 2月19日(火) プノンペン郊外 ゴミ山、ヘルスケアセンター
プノンペンの街中をはずれ、細く凹凸の激しい道を10分程進んだところに「ゴミ山」はあった。無造作に積み上げられたゴミ山は、一目でわかるような臭気を発し、空気は淀んでいた。「バスに乗り降りするときは、すばやく行動しろ」と注意を受けた。さもなければ大量のハエがバスの中に入ってくる。CMC一同はバスを降りた。

ゴミ山でパンを売る女性
降りた瞬間に、鼻を突き刺すような臭いに見舞われる。生ゴミの臭いでもなく、下水の臭いでもなく、過去に経験したことのないような臭いだった。想像を絶するその臭いにより、五分ほど嘔吐感に見舞われた。雨季になると臭いは乾季の三倍にもなるそうだ。
今年の終わりにはJICAの支援によりここのゴミ山は封鎖され、別の場所に新しいゴミ山が作られるとのことだが、実行の可能性は疑わしいそうだ。
ゴミ収集車、ブルドーザーが縦横無尽に走る中、ゴミ山では多くの人が働いていた。
彼らはゴミの中から金目のもの、主にプラスチックを探し出し、それを換金所に持っていくことで生活をしている。中学生位の子供が一日中プラスチックを拾った結果が2000〜3000リエル。一ドルを4000リエルに換算しておよそ50〜70円位というところだ。
カンボジアの子供達は、日本の子供達と比べ、ただでさえ体の大きさが小さかったり、育ちが遅いと感じたが、ここの子供達はカンボジアの中でもひときわ小さく、幼く見えた。十分な栄養がとれていないのだろうか。
9歳の女の子コイちゃんは身長120cmほど。見た目は7歳くらいに見え痩せ細っている。いつも朝7時頃から働き始めている。昼間は暑すぎて歩き回ることができないため、朝早く働き始めるのだ。
コイちゃん(9歳)

ストリートチルドレン タン君(15歳)と
ツアーメンバー小学校5年生の萩原奈々ちゃん
学校に行かず、親とともにごみ山で働く子供達に加えて、そこには孤児もいる。ストリートチルドレンだ。15歳の男の子タン君、身長約130cm、体重は20kgくらいであろう。日本でいうと10才位の体つきである。産まれたときにはすでに父母がいなく、なぜなくなったのかも知らない。アカの他人であるおばあさんに育てられ、日々暮らす定住の家もないという。「学校に行きたい。」と彼は言った。
昼間働かなければ、自分が今日食べるご飯のためにお金を稼がなければ生きていけない彼は、学校に行くことができない。
彼のようなごみ山で働く子供達は毎日、死ぬまでここで暮らすことになるのだろうか。最低限の教育を受けられないということはその子供の一切の未来、希望を奪うことなのだ。彼の悲しげな瞳ほどこの問題意識を考えさせられたものはない。

情報が得やすくなった時代とはいえ、日本という閉鎖された国にいると、このような劣悪な状況に置かれている人々が同じ地球上、同じアジアにいるということすら気づかないことが多い。
 私達が当たり前のように享受している「繁栄」は、当たり前のことではないのだ。
プノンペンのごみ山を訪れた後、私達はごみ山に隣接するNGO「ヘルスケアセンター」を訪れた。
ヘルスケアセンターは主にゴミ山で働く子供達とプノンペン周辺に住む子供達を対象に、教育を行っている。

カンボジアの伝統舞踊を習っている子どもたち
総勢159人の子供達のほとんどはゴミ山の周りで暮らしている。しかしながら、学校に来ることができない子供も多いそうだ。学校に行っている時間は日銭が稼げず、働かなければいけないというのが一番の要因だそうだ。学校には午前午後で6つのクラスがあり、スタッフは9人いる。
その中にはそこのスタッフは三人、ほかのNGOに所属する職員が二人で、あとの四人は完全なボランティアだそうだ。スタッフの中には、もともとゴミ山で働く子供だった方もいるという。

砥綿現地駐在員に群がる子どもたち
彼はもうすっかりカンボジアに馴染んでいた

CMCより支援金が校長先生に手渡される
ヘルスケアセンターではつきに1000ドルの運営費を必要としていて、現在それは著しく不足している。現在方々からの支援を募っている状況だ。
教室に入ると、子ども達が一生懸命勉強している姿が目に飛び込んできた。
休み時間になると、子ども達が一斉に私たちツアーメンバーに抱きついてきた。人懐っこく、とても可愛い。一人の子をだっこすると、私も〜私も〜と次々に子ども達が群がってくる。まぶしいほどの子供たちの笑顔が私たちを取り囲む。
最後にCMCから子どもたちに文房具類と支援金が手渡された。ここで出会った子供たちの顔から笑顔が消えることのないよう願いながら、子どもたちに手を振りバスに乗り込んだ。


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