カンボジア地雷撤去キャンペーン
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 2月17日(土) エマージェンシーホスピタル訪問
ミェン・スーンさん(25才)は今年1月18日、自分の家の裏にあるコーンプランテーションを歩いていて地雷を踏み、一瞬にして両足を吹き飛ばされた。故郷プルサットで一所懸命働いて、パイリン特別市郊外に憧れの家を持った矢先のことだった。

パイリンはタイ国境にあり、内戦時、追いつめられたポルポト派の拠点となり多くの地雷が埋められた。周りに住む古くからの住人達はコーン畑が地雷原であることを知っていたが、新居に引っ越したばかりのミェンさんは、それを知らされていなかった。爆発音に驚き集まった住民は、彼のそばに寄ろうとはせず、長いひもの先に棒をくくりつけ、それを投げて引っ張り寄せたという。それほど地雷を怖れているのだ。

両足は無残に切断され、視力も極度に弱ったミェンさんは、イタリアのNGOが運営するエマージェンシーホスピタルに入院していた。

新居に移ったばかりで被害に遭った
ミェン・スーンさん(25才)
エマージェンシーホスピタルの看板には「SURGICAL CENTER FOR WAR VICTIMS」と掲げられており、戦争被害者救援のための病院である。ここバッタンバン以外にも、イラク、アフガニスタン、シエラレオネなど世界の紛争地で病院を運営、負傷者の治療にあたっている。カンボジアの病院は1998年7月に開院しており、CMCは2000年から継続して支援を続けてきた。病床数も2002年時で63床、2005年時78床、そして今年106床と敷地内いっぱいに増えてきている。
この病院を訪れる際には車両の点検やボディチェックが行なわれる。最近、パキスタンで病院が襲撃されたという。日本では考えられない緊迫感がある。病院内は清潔で庭にはリゾートを思わせるほど美しい熱帯の花が咲き乱れ、入院患者の心が和むよう配慮されている。病院としての環境という意味で、国立の第五軍病院とは雲泥の差がある。3つある手術室や9床のICU、血液保管室や薬局は全て空調で室内が一定温度に保たれている。エマージェンシーでの手術、入院等はすべて無料(患者負担無し)で行なわれるため、そのエマージェンシーを支える資金提供が重要であり、それなしでは病院の存続はあり得ない。その意味でCMCの継続支援は高く評価されており、CMCの事業である地雷被害者への心のケアのためのラジオ放送「VOICE OF HEART」への協力や、CMCが依頼した患者への治療は速やかに応じてくれている。

内戦の終結と、地雷撤去作業の推進により地雷被害者は着実に減少してきている。しかし、バッタンバン州、パイリン特別市、バンテアイミェンチャイ州といったタイ国境に近い地域では残念ながら被害が続いているのが現状だ。

家の新築作業の手伝いをしていて
被害に遭ったチェット君(12才)
チャン・チェット君(12才)は、古くなった家を新築するため父親と一緒に木を切り出しに森に入り地雷を踏んだ。左足は一瞬にして膝から下を奪われ、右足と左手にも大怪我を負った。一緒にいた友達も右目を奪われた。彼らは近くで作業をしていた地雷撤去組織C-MAC隊員に救助され一命は取り留めたが、チェット君は残された右足も変形しており、近々切断しなければならないという。

家から3km離れた学校へは通うことができなくなってしまったが、今でも彼は父を誇りに思っており、将来は父のように、木を援採し炭を焼く仕事をしたいと願っている。自宅の200m先からは地雷原となるが、彼が被害にあった場所にはドクロマークさえ建てられていなかった。
モア・ラタナック君(10才)は、バッタンバン市の都心部を貫くサンカー川で遊んでいるときに不発弾を見つけ、何だろう?と触った瞬間爆発して、両目と右手を失った。事故は私たちが訪問する1ヶ月前の1月7日に起ったがその場所は以前CMCのスタディツアーに参加した学生たちが地元の子ども達と遊んでいた場所だった。町中の日常生活の場が事故現場となることに恐怖を感じずにはいられない。ラタナック君は、エマージェンシーホスピタルに1ヶ月入院治療し、左目は光を認知できるまでに回復してきたが、右目は失明し膿んで激痛が走るという。小学校2年生だったが、目が見えないため学校へは行けなくなってしまった。コンピュータの勉強をしたいという彼の願いが叶うためにも、目が回復することを祈りたい。

2月17日エマージェンシーを視察した私達は、今年度からの責任者として着任したばかりの、メリア・ヘイトさんに支援金を手渡し、最後の訪問先となるシェムリアップ市に向け出発した。

都心部の川で被害に遭ったラタナック君(10才)

エマージェンシーホスピタルについて説明する
メリア・ヘイトさんの横には
CMCのラジオポスターが貼られている

ミェン・スーンさんら被害者のために
支援金を手渡す


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