カンボジア地雷撤去キャンペーン
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ICRC (国際赤十字)
(記録) 田代文子吉田朋子由見裕也相庭博堀川ひろ子 
カンボジア国内に3施設あるICRCの中で、最も規模の大きいバッタンバンのICRCは義手・義足の製造工場と義足歩行者のリハビリセンターを運営しており、バッタンバン近郊5州の被害者を支援している。地雷被害者だけでなく、交通事故やポリオなどで障害を負った人々の支援もしており、送迎、滞在費、食費をすべて無料で提供している。義手・義足の製造工場の責任者は以前カンボジア・トラストで働いていたというヘイン氏。この工場には毎日10人〜15人の患者が訪れる。

【製造手順】
  1. 訪れた患者は先ず診察を受けカルテを作成。(緑のカルテは地雷被害者や事故被害者,黄色はポリオなど病気患者)
  2. 5分後に固まる特殊な包帯を、義手を装着する腕、義足を装着する腿に巻きつけ、型を取る。
  3. それに白い液体を流し込んで、固まったら包帯をはずす。
  4. 肌色のプラスチック板を15分200℃で熱し、柔らかくする。
  5. 出来上がった型に対して柔らかい状態の肌色の材料を、人体に接する部分、部品と接合するプラスチック部分と順番に巻いていく。
  6. 不要プラスチックを切断し、完成。
この工程で1日最大10本作れるという。また、患者の初診から10日ほどで完成する。
(過去にICRCで型を取った患者は2〜3日)
リハビリセンターでは現在62人の患者が生活しているが、最大120人の生活が可能(ハンモック等を使えばそれ以上)。これまで13883人がセンターを利用し、その90%は地雷・不発弾の被害者である。患者がリハビリに要する期間は怪我の具合によるが、義足を作る際の初診から約一ヶ月である。
毎日夕方4時に、医師による検査(患者の歩行をチェック)が行われている。階段や、でこぼこ道を想定した器具もあり、自転車をこぐ訓練も行われている。室内では、4〜5名の方が歩行訓練を行っていた。中には母親に付き添われて、訓練に励む子どももいた。義足の場合、膝下なら2週間、全下肢は3週間くらい訓練する。
〜患者の例〜

●28歳・女性

2005年10月16日、 豆の栽培をしている祖母の畑へ行く途中で地雷被害にあう。そこが危険地帯だとは知らなかった。子どもは4人(11歳、10歳、4歳、1歳)。
家族はみんな農業をしている。一度帰ったときに子どもが「痛い?」「歩くの難しくない?」と聞いてきたという話を聞いて、胸がつまった。
●33歳:男性

2005年8月28日、パイリン地区にて、畑を耕していて(小作農)地雷の被害にあう。(右手、右足)
子どもが3人いるが、パイリンの病院から運ばれてきて、一度も家に帰っていない。

リハビリをする方たちに笑顔はなく、ただ淡々とリハビリに励んでいた。やはり精神的ショックが大きいように見える。
そんな彼らに少しでも希望を持ってリハビリしてもらうため、ICRCは地雷被害者のためのラジオ番組「VOICE OF HEART」(昨年CMCがカンボジア全土で制作・放送したラジオ番組)の録音テープを毎日決まった時間に流すなど、CMCと協力してリハビリ患者の心のケアに取り組んでいる。
月に地雷被害者に作る型数は150程度、その他の病気などによる障がい者のための型数は70〜80作っているが、もっと作るためにはスタッフの人手が足りていないという現状がある。今最も必要なのは一に技術者、二に資金で、いまは仕事内容と給料が割に合っていないために人手が足りていない。政府役員の月給は110ドル、指示下で動くスタッフの月給はもっと低い。ちなみにNGOスタッフの給料は政府役員のそれの約4倍ではないかといっていた。そしてカンボジアの障がい者と日本の障がい者の異なる点は、被害後の国のバックアップ体制の違い。カンボジアでは障がいを負っても重労働をし続けなければならない。


Vol.3


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