カンボジア地雷撤去キャンペーン
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第5軍区病院   HIV・エイズ病棟   訪問
(記録) 山本豊/由見裕也/堀川ひろ子/吉田朋子/塚本篤史
最初に会議室にて第5軍区将軍臨席のもと、院長であるメン・ソコム氏よりブリーフィングを受けた。第5軍区は4つの州を管轄しており、この病院は軍人とその家族だけでなく地域住民も受け入れ全て無料での治療を行なっている。
ベット数は200。(内戦前は400、内戦中は500で戦争被害者が多くあったものと推測される)現在は主にエイズ患者を受け入れている。エイズ患者のうち歩ける患者は週3回(月,木,金)の通院、歩けない患者は入院する。現在、この病院で延命薬投与で治療中の人は40人、入院患者は29人(男女比は8:2)で夫婦が4組。外来患者は167人。第5軍病院に限って言えば、感染率は7.8%(2001年)。昨年の死亡は12人。
エイズの感染原因の1位はやはり売春行為であるがそのほかに母子感染によるケースも少なくない。UNAIDS(国連エイズ合同計画)が確認しているこの国の感染率は15歳〜49歳で2.6%前後、アジア・太平洋地域で最悪。検査を受けた人だけを対象にした数字の為、実際の感染率はもっと高いと思われる。内戦30年間は食料不足から病気へ。内戦後はマラリア、エイズ感染者が多くなり大変な問題となっている。エイズ感染者は内戦前にはいなかったが、パリ和平条約後、UNTAC(国連カンボジア暫定統治機構)がこの国の統治に介入した事や、タイへ避難していた人々の帰還者からの感染がカンボジアのエイズ拡大の原因と思われる。
第5軍病院では、深刻になっているエイズ中心に現在2つのプログラムを行っている。
1.薬での治療

この病院は政府の管轄であるが、施設はとても病院とは呼べないほど劣悪な環境である。国防省からは3ヶ月に一度支給があるが、患者数に対して全く足りておらず、資金不足は深刻である。薬は特に抗生物質と抗HIV薬がなく、医療器具もないに等しい。

ICU室、手術室もひどかった。粗末な薄汚い部屋にただ古びたベッドがぽつんと置かれてあるだけである。手術室はそのベッドの上にオペ用の電灯があるだけ。入院するといっても治る見込みなどはほとんどない。ただ寝かせられているだけで、まともな治療を受けているようには到底思えなかった。病棟で入院している患者は皆痩せ細り、その目には覇気がなく、どこにいってもどんよりとした空間であった。
2.希望を作る集会

第5軍区病院では、月に1回集会を開き、薬の服用方法や家族を感染させない方法、また今後生きていくうえで希望を持って生きられるようケアを行っている。我々が訪問したその日がちょうど集会の日であった。集会場の中には、極端に痩せ細り、動くことがままならず横たわっている少年もいた。彼の母親がエイズで彼もHIV感染したという。きっと体のあちこちが痛むはずである。言葉が出なかった。さらに集会にはまだたくさんのエイズ患者の子供たちがいた。感染しているかどうかはある程度成長しないと判別できないのでわからないが、そこで笑ってはしゃいでいる子共たちの数年先を考えると胸が苦しくなった。

オック・ラクサ君 10歳。母子感染による彼の症状は深刻で、体重は10キロにも満たない。2歳になる彼の妹も感染が確認されている。
その会場にて患者の前で、ワイズメンズクラブ国際協会を代表して、大阪西クラブの山本氏とCMCより病院運営のための支援金が贈られた。


Vol.3


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