「難民を助ける会」障害者職業訓練センター |
(記録) 由見裕也/塚本篤史/滝佳之 |
包括的な地雷問題の解決においては、地雷除去や地雷回避教育はもちろん大切であるが、地雷被害者の生活支援も重要である。難民を助ける会は、そのような観点から地雷被害者を含む障害者の社会復帰を支援し、職業訓練校を運営する日本のNGOである。 |
縫製・仕立てコースで学ぶ学生さんたち |
難民を助ける会は訓練校を1993年に設立し、これまでに501人を支援。うち251人は地雷で障害を負った方たちである。今期は33人が訓練に参加している。専門コースは、以前あったオートバイ修理を除いて「TV・ラジオ・携帯電話修理コース」と「縫製・仕立てコース」の2つがあり、訓練生は入校して始めの2週間は識字学習をして、その後は1日1時間の識字学習とそれ以外の専門コースの訓練をする。また、環境や生活面に関する教養学習や家計簿、商売のテクニックといったビジネス知識の教育も受ける。 |
合計11ヶ月(1月〜11月)の訓練期間中は衣食住の費用や教材費は無料である。9つの州から選ぶ訓練生の選考基準は厳しく、(1) 障害の程度(仕事ができるか) (2) 本人の意思の強さB家族の同意 (3) 需要とのバランス(店が本人の村に必要か)で決定される。 |
校内には図書室、保健室もある。一方で、ラジカセなど、訓練に必要な教材は足りていないという。 職業訓練校のとなりには車椅子工場がある。ここで働く方たちの多くも障害者である。スタッフ11人中8人が障害者で、うち2人がポリオ患者、6人が地雷被害者である。ここで製造された車椅子は、地雷被災者に対する義肢供給支援を目的に設立されたイギリスのNGO「カンボジア・トラスト」に無料で卸される。その他、注文を受けた際は1台70ドルで売っている。 |
車椅子工房で働く地雷被害者 |
卒業後のフォローアップとしては、仕事に必要な道具をあげるなどの援助を行っている。また、仕事場に視察に行き、仕事が上手くいっていると3回までサポートを行い、最後に入学前と卒業後の生活レベルを調査する。需要の関係や、技術の未熟さ、実践不足などが影響し、卒業後に職を持つことができる人は約75%である。卒業しても仕事がない場合、もう一度入学して、技術を向上させるケースもある。卒業後90%の人が職を持てる事を目標としている。 |