エマージェンシーホスピタル |
(記録)
河合梓美 /
阿部容子
/
堀川ひろ子 |
ツアー6日目、バッタンバン市にある病院、エマージェンシーホスピタルを訪問。この病院はイタリアのNGOが運営している緊急病院で、戦争被害者のために作られたので地雷被害者なども多く入院している。この病院の医療設備、技術はカンボジア国内でも優れており、宗教、人種などに捕らわれず、全ての人が無料で治療が受けられるようになっている。そしてその運営すべてが寄付で行われている。 CMCも毎年ドネーションを行っている。カンボジアのほかにもイラクやアフガニスタンなど戦争被害者の多い国で運営を行っている。薬や治療に使う物のほとんどは他国から輸入をするとお金が掛かってしまうためカンボジアの首都プノンペンから調達している。どうしてもないという場合は隣国のタイや、ベトナム、本部のあるイタリアから輸入している。ここでのスタッフの数は158人でそのうち153人がカンボジア人、海外から来ているのは、3人しかいない。最終的には現地の人達のみで運営していけるようにするそうだ。ここにいる患者の数は、毎日250人から260人くらいで、そのうち子供は30人くらい。外来の人数は1200人から1300人。乾期の今は雨季に比べるとはるかに多く、交通事故などによる死亡率も高いそうだ。2月の間にも53人が事故による被害で病院に来て、そのうち5人が死亡。 カンボジアでは今のところバイクに乗るのに免許が不要なため、小さい子だと 8 歳くらいから乗っていたりする上に、大人 3 人プラス子供を脇に 2 人抱えた 5 人乗り(しかもヘルメット無し)なんてのもめずらしくない。さらに対向車がまん前から来たりするような交通事情では、事故が起こるのも無理はない。 もちろん交通事故だけではなく、地雷による被害者もたくさんいる。 2004年の間に地雷の被害によってこの病院に来た患者は105人でカンボジア全土では、800人以上も被害に遭った人がいる。 |
2000年 |
2001年 |
2002年 |
2003年 |
2004年 |
145 |
115 |
94 |
104 |
105 |
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地雷があるのは、町から 2,3時間離れた村。その為、被害に遭っても病院に行けない人が多くいるという。そういった理由から1週間、もしくは10日に一度、四駆を救急車代わりに乗って病院のほうから村に患者を探しに行く。「村の人々は病院にはお金が掛かると思っているし、患者がいることを恥ずかしいことだと思い隠してしまう。だから患者を見つけることはとても大変です。」と案内のサブリナさんが言っていた。見つかった患者や、外来に来る患者の多くは始めに血液検査をします。この検査で見つかる病気も多くあり、検査による4%の人がマラリア、HIV感染者、10%がA型肝炎、C型肝炎だという。ケガで病院に来ていたのに血液検査で他の病気であると分かるのだ。 |
病室の見学に行くと、奥までいくつものベッドが並んでいた。そしてそのベッドに横たわる 多くの人が地雷被害者だった。例えば、13歳の男の子は、地雷の金属部分を売るために、それをとろうとして爆発し、手を失っていました。危険なことはわかっていても、生活のために手を伸ばしてしまったのだ。また、24歳の男性は、農作業中に地雷に当たり片足を失ってしまった。特にたくさんの地雷が埋まっているタイとの国境付近や、農業を営む人が多く被害にあっている。 1週間前に地雷の被害に遭った人は全身に火傷のあとがあり片足がないという状態でベッドに寝ていた。 |
見学をすべて終えた後、CMCから案内役のサブリナさんへドネーションを行った。地雷被害者やポリオなどで苦しむ人々にとって、少しでも助けになってくれればと願う。 |