カンボジア地雷撤去キャンペーン
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第5軍事病院
(記録) 西森志保 / 中島久美子 / 羽田野勝利
バッタンバンのホテルから、本当に近いところにあった。静かで、ほこりっぽくて、何もないところ。病院特有のせわしなさや、生命力の勝負が感じられない、のどかで、時が止まっているようなところ。そこは、病院という名であるのに、病院ではなかった。ぼろぼろの洋服を着たかわいい子供たちが、私達の来訪がめずらしいのか、近くに寄ってきた。とても屈託の無い笑顔だった。元気に走り回ったりする様子を見て、少しだけ心が和んだ。 私達が行ったときは、エイズ患者の集会が行われていた。狭い広場に30〜40人はいただろうか?ちょうどアメリカの宣教師が、そのハエの群がる広場で、熱く演説をしていた。カンボジアの宗教は主に仏教だが、イエス・キリストの救いをただ訴えている。何を言っているかはあまり聞き取れなかったが、安らかな死を暗示させたような演説であった。その集会に、参加させてもらったが、とても怖かった。死ぬとわかっているからなのか、キリスト教などどうでもよいからなのか、患者たちの目が、とても乾いた目に見えて、苦しい。宣教師が強く訴えているのとは正反対に、明らかに弱々しいのだ。目のやり場に困り、うつむくしかない状況の中、さっき入り口で会った子供たちがやってきた。彼女達もまた、母親をエイズ患者にもつ、エイズ患者なのだろうか。
演説が終わり、一応、拍手が起こった。しかし彼らに必要なものは、救いの言葉よりも、救いの手なのだ。むなしかった。人々の心のよりどころとなる宗教が、乾ききっていた。話によれば、この軍病院は、ガーゼや消毒液すらないところだという。政府によって運営されているはずの病院は、もはや運営などではなく、ただの建造物に病人を押しこめているだけ、治療など何もできないのだ。お金もなく、薬も買えない状況で、彼らは、本当の意味で“死を待つ”しかないのだ。マザーテレサの「死を待つ人の家」とは違う。心の救いさえも陰ってしまう現状なのだ。
カンボジアには、本来はエイズなどなかったという。カンボジア紛争の政治的解決を名目に入ってきた国連の暫定行政機構 UNTAC の介入と同時に、エイズという病気がもたらされたのだ。カンボジアの人々が、あまりに不憫でならなかった。昔から、タイやベトナムから侵略を繰り返され、挙句の果てには自国内部からポル = ポトという指導者を生んでしまい、絶えず抑圧されてきた人々が、やっと平和へと歩み始めようというのに、今はエイズや地雷など、争いの残骸や介入によって苦しめられているのだ。貧困が続くカンボジアでは、売春などにより稼ぐしかない現状が続いており、エイズ患者は増加の一方を辿ることになるだろう。断ち切れない負の連鎖が、延々とつながっているのだ。
ワクチン、薬代として病院へドネーションを行った
お金やガーゼ、消毒液、折り紙など、いろいろなドネーションを渡したが、これでいくつの命が救われるのだろうか?どれだけこの病院の設備が恵まれるのだろうか?どれだけ患者の心が救われるのだろうか?どのくらい、この人々の顔が明るくなるのだろうか? 子供たちの笑顔だけは変わらなかった。病気なんて関係ないくらい、とてもニコニコ笑っていた。それがせつなくて、苦しくて、現実から目をそらしたかった。しかし、何もしないことが一番の罪だ、助けられる命はないかもしれない。宣教師だって、命を助けられないが、それでも何もしない人とは違う。何かを変える努力をしなければ、一向にこの国は変わらない。多くの人に、正しい知識が広まり、間違いが少しずつ修正されて、いつか連鎖が断ち切れるように、継続的な支援が必要だと痛感した。現実は何よりも私達の心に訴えかけてくるものだった。
孤児院 (Peaceful Children Home−U)
(記録) 羽田野勝利 / 田口陸奥男
バッタンバン市内から少し外れた場所にある孤児院を訪問した。突然の訪問だったが、責任者のチュウン先生は快く迎え入れてくれた。
「Peaceful Children Home-U」 此処は1992年から日本の方が支援されており、親が居ない子50%、片親の子25%、貧しい家庭の子、虐待されたり売り飛ばされたりする危険のある子供など4歳〜18歳の子供たちが共に生活している。




生活費を切り詰めるため日本の方の援助で周囲の土地を購入、いも、バナナなど果物や野菜、米もつくっている。農作業は子ども達も皆で作業する。
孤児院の立ち上げはカンボジア人であるが、運営資金面は日本の個人支援者などから受けているそうだ。


Vol.3


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