カンボジア地雷撤去キャンペーン
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 2月28日(月)
シェムリアップ身体リハビリテーションセンター
Physical Rehabilitation Center of Siem Reap
カンボジアにおける地雷・不発弾生存者を含む障害者への身体リハビリテーションは、社会福祉・退役軍人・青少年更正省 (The Ministry of Social Affairs, Veterans and Youth Rehabilitation)とパートーナーであるNGOによって提供されている。カンボジアには11のリハビリテーションセンターがあり、24州をカバー。
8:00〜9:00
CMCスタディーツアーはシェムリアップのリハビリテーションセンターを訪問した。
このセンターはシェムリアップ州、プレア・ビヘア州、コンポン・トム州の患者を受け入れている。

患者に対して、義手、義足、矯正器具、補助装具の製作、提供だけではなく、理化学療法や精神的ケアーも行なっており、また、患者の宿泊、食事、移動交通費も援助している。すべて無償で提供され患者の負担はない。患者は月に20〜50人ぐらいで男性の方が多く、地雷・不発弾事故、ポリオ、交通事故などによって障害を負った方が来ている。
想像していたよりもこじんまりとした印象で、記憶に残っているのは、ユン ジムさん(45)。2010年1月20日、兵士としてプレア・ビヘア州の国境警備中、山の麓にて地雷を踏み足を切断。松葉杖を使用していたがこの度義足を作りトレーニングを受けているところだ。兵士だけあって、小柄だけどがっしりしててなにかしら気迫がある方でした。今後どうするつもりかという問いに、軍が復帰をさせるなら復帰したい、と答えていました。

シェムリアップのセンターでは現在、義足を月に50から60本提供しているそうだ。社会福祉省のリハビリテーション局によると、大人用の膝上からの義足で318ドル、膝下からの義足だと198ドル (材料、製作、トレーニング費用などを含む)だ。
また、ハンディキャップ・インターナショナルが運営支援していたが、現在、社会福祉省が管轄する政府機関として権限、運営の委譲された。しかし、政府からの予算では運営費の3分の1しか賄えず、 引き続きハンディキャップインターナショナルによる、義肢装具士やセンターのスタッフの人件費をはじめとした財政支援、義手、義足の素材やパーツの援助が必要な状況だ。2012年には政府予算のみで運営を行なっていく予定であるが財政面で不安が残る。
地雷・不発弾被害者支援、中でも医療、福祉支援は生涯を通じて行なっていかなければならない。持続可能な形で行なっていくために海外からの支援に依存せず政府自らが責任を持って実施していけるよう委譲が進められている。しかし、サービスの質を保ちながら運営していくのには特に財政面での困難が予想され、しばらくは海外からの支援も引き続き必要な状況だ。
カンボジア地雷博物館
シェムリアップの遺跡群の中に位置する場所にあるカンボジア地雷博物館。カナダのNGO=THE CAMBODIALANDMINE MUSEUM RELIEF FUND が運営しています。館長は元少年兵のアキラ氏。
私たちは移動中の車内でアキラ氏についての大まかなレクチャーを受け、地雷博物館へ向かった。

小ぶりな施設内には、彼の働きを表彰するレリーフやその略歴、おびただしいが一部であるアキラ氏が撤去した地雷、クメール・ルージュ兵士たちの内戦当時の様子と、仕掛けられた様々な地雷の再現、そして彼の家族である子供たちによって描かれた絵の展示があった。
また、いくつかの言語でアキラ氏の活動を紹介する展示があり、拝見したところ日本語のそれはとある有名な民放番組での一幕の録画映像であった。取り扱っている話題にしては明るく軽やか過ぎる表現に多少納得はいかなかったものの、アキラ氏の略歴等を知るには手ごろであり、また日頃私たち自身が日本でどのようなものを目にしているのかを考えさせられるものでもあった。
中央には様々な種類の地雷
や不発弾が展示されている

当時の軍服の展示

アキラ氏
さまざまに展示されてる地雷や説明書きのパネルも目を引きますが、一番惹かれたのは館長であるアキラ氏の生立ちでした。
約5歳(約としてるのは氏が生年不明な為)の時に両親はクメール・ルージュに理不尽に殺害されそのままクメール・ルージュの兵士として育てられ、10歳にして少年兵に、そして13歳でベトナム軍に徴兵され今度はクメール・ルージュと戦い、ベトナム軍撤退の後はカンボジア軍に属しクメール・ルージュと戦うという、壮絶な半生です。
氏は現在もカンボジアの村々の地雷撤去活動に従事されています。
現在は法律で地雷撤去作業の手順や方法は厳しく定められているために、かつてアキラ氏が行っていたような方法で地雷撤去を行うことはできないという。展示物から学んだ彼の行っていた地雷撤去法は、彼が元少年兵であった経験を生かした高い技術を要するものであり、多くの人が同様にそれを行うのは困難であり、より大きな安全性に適わなかったものと思われた。

アキラ氏の活動は国際社会で評価されている。草の根的活動を体現したような人である。これは償いだと、先述の民放番組で彼が言った言葉がそれを代弁している。

氏に与えられたCNN HEROS

かなり無造作に展示されてます
余談ですが氏はお子さんにMINEという名前を付けてるみたいです。当日は氏にお会いする事は出来なかったのですが、博物館の展示資料をくまなく見てその活躍・貢献ぶりを理解しました。それにしても数ドルで1個作れてしまう地雷を撤去するのにどれだけの金銭的・人的・時間的コストを要するのだろうか?とまた深く考えさせられた場所でした。


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