カンボジア中学生の中学校生活
12月18日(水)
前回,中学校の授業風景をご紹介しましたが,今回は中学校の授業以外の様子をご紹介いたします。
校門
自転車,バイク置き場。日本製のバイクがずらっと並んでいます。
学校の敷地に入ると,バイク・自転車置き場があります。やはり目を引くのはバイクの数でしょう。近くに住む子は自転車や徒歩で通いますが,遠くに住む子は家にあるバイクで通学します。「中学生がバイクで通学するのか!?」という驚きもありますが,それだけ校区が広く,遠くに住んでいる子にとってはバイクなしでの通学が困難であるということも特筆すべきことでしょう。家にバイクがないかもしくは通学に使えないから中学校へ通うことができないという子は,田舎にはまだたくさんいます。ただ,「そのぐらいの距離ならがんばって通えよ!」と思うような距離でも「遠いから」と通わない子も中にはいますが・・・。
ちなみに法律上は中学生はバイクに乗ることは認められていません。しかし,公然とバイクで通学します。カンボジアにも運転免許制度は一応ありますが,大人も含めて免許を取得してバイクに乗っている人はほとんどいません。とにかく,中学生の通学事情含めカンボジアの交通事情はいろいろな面で突っ込みどころ満載です。ここでは本題からそれてしまうので,この話題はまたの機会に。
朝7:00過ぎ,全校生徒が校舎前に整列して,国旗掲揚及び国歌斉唱が行われます。これで1日が始まります。
朝礼
カンボジアの学校のチャイム。係りの生徒がこれを叩いて授業の開始・終了を全校に知らせます。
売店。休み時間(特に1時間目の終わり)になると売店で朝ご飯を買う生徒でにぎわいます。
品揃えは学校によってかなり差がありますが,この学校はけっこう充実しています。ちなみにここは辺境の地ソムロート群の中学校。
食堂にて朝ご飯。
2時間目,3時間目の終わりにはそれぞれ仲間同士で遊びます。
ゴムひもとび。輪ゴムをつなげたものを飛び越える遊び。足に引っ掛けて飛ぶのも可。高さの設定は様々。
男の子も女の子も競うように飛びます。中には「陸上やらせたらけっこういい線いくかも」と思わせるような子も何人かいます。
学校によってはバレーボールのネットが張ってあり,バレーボールも楽しめます。
カンボジアには体育の授業はありません(もちろん放課後の部活動もありません)が,多くの子はこのように好んで体を動かしていますし,男子は特に夢中になってサッカーやバレーボールをやります。また,小さいころから農作業等,家の仕事を手伝っているので皆体はとても丈夫です。スポーツ競技をするという文化がないため「競技に打ち込む」などという感覚は皆無(もちろんそのような環境も皆無)で,これらはあくまで遊びにすぎませんが,過度の競争や日本にあるような根性論などがない分,とても気楽で健康的なスポーツの楽しみ方を子どもの頃から実践しているといえるのかもしれません。それでいいか悪いかは何とも言えませんが・・・。
続いて,中学生による芸術作品及び心の声をご紹介します。
机の落書き①。
机の落書き②。
紙幣(おもに100リエルや500リエルなどの少額紙幣)に電話番号やその他諸々のメモを取るような国民ですから,机の落書きにも寛容なのでしょうか。多くの机にぎっしり落書きがしてあります。
机の落書き③。
やはり一番多い落書きは「I love you」でした。私が机の落書きをながめていると「I love youだよ」と女の子が照れながら教えてくれました(見りゃわかるよ!)。覚えたての英語で書きたいと思うのは,どの国も共通なのでしょうか?英語はできなくても「I love you」だけは生徒にしっかりと浸透しているようです。
机の落書き④
画像右下に「Somlanh」とありますが,これはカンボジア語の「Love」を意味する語の発音をアルファベット表記したものです。日本の中学生が「Aishiteru」などと書くようなものでしょうか。日本人のアルファベットの使い方に何か通じるものがある気がします。とにもかくにも,思春期真っ只中の中学生にとって,勉強なんかよりはるかに重要事項であることは,日本もカンボジアも変わらないのかもしれません。
学校に行く意義を改めて考えてみると,学業を修めるということがまず第一ではありますが,それ以外にも同世代の仲間と同じ時間・同じ空間を共有するという経験もまた自己の人格を形成したり社会性を身に付けたりするうえで重要な意義を持つように思います。そう考えると,学校に通えない子(日本の不登校とは本質的に異なる)がまだたくさんいるというのは,とても残念な話です。今すぐは無理でしょうが,すべての子どもが義務教育(であるはず)の中学校までは通えるようになれたらなと思います。
ベンチで雑談。どんな話をしてるのでしょうか。
文責:曽田実
2013年12月18日更新