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■明博史のカンボジア現地レポート

      ■ VOL 1  トゥールスレンを語り継ぐ
      ■ VOL 2  スタン・ミエンチャイゴミ処分場移転


VOL2 スタン・ミエンチャイゴミ処分場移転

 スタン・ミエンチャイゴミ処分場は、カンボジアの首都プノンペン市(人口約132万人、2008年現在)のゴミの唯一の処分場で、1960年代に稼働を始めた。1日に約700トンのゴミが運び込まれる。ゴミはそのまま捨てられるためゴミ山となり、メタンガスによる自然発火、それに伴うダイオキシンの発生、埃、粉塵、悪臭、蠅や害虫の大量発生、有害物質による土壌汚染、汚染した浸水の流出など周辺の環境に重大な影響を与えている。また、ゴミ山で働いている者の健康への害も多大である。
 ゴミ山の中では、混在して捨てられるゴミの中から、換金出来るリサイクル資源、缶、瓶、鉄、銅、アルミ、プラスチック、ペットボトルなどを拾い集めて中間業者に売って生計を立てている者が働いている。中でも子どもが多い。彼らの収入は 買い取り価格に大きく左右され、子どもの場合、1日働いて2〜3,000リエル(0.5〜0.75ドル)にしかならない。
 
 日本政府はカンボジア政府の要請を受け、 「計画目標年の2015 年までに、プノンペン市に持続可能は廃棄物管理システムを構築する」ことを目標に、JICAが2003年2月から2005年3月まで廃棄物管理計画調査を行なった。処理能力が限界に来ているスタン・ミエンチャイゴミ処分場に替わる新規処分場の建設、ゴミ収集サービスの拡大、スタン・ミエンチャイゴミ処分場の閉鎖に関わる問題解決を優先プロジェクトとした。この調査の結果を基に、2006年10月に「プノンペン都市環境改善プロジェクト」を開始した。しかし、2008年3月、プロジェクトは中止された。 
 プノンペン市のゴミの収集は、プノンペン市がカナダ系の民間会社、シントリ(CINTRI)社に 独占契約で委託しており、2002年3月にプノンペン市とシントリ社が結んだ契約内容は、シントリ社は「利益を生む地区のゴミ収集を実施」すればよいとされたため、収集が不十分な地区が多く発生していた。この契約を改定することがプロジェクトの実施条件の一つだったが、結局プノンペン市とシントリ社との間で契約改定がなされず、JICAは今後想定した成果を挙げることが困難と判断しプロジェクトを中止した。
 新規ゴミ処分場はチュンエク村のキリングフィールド近くのDang Korに建設されている。JICA支援によるプロジェクトは打ち切られたが、新規ゴミ処分場の建設は進んでおり、2009年中に稼働を開始する予定。20年分のゴミが処理出来る100ヘクタールが目標で、現在、6年分のゴミを処理する31ヘクタールを第1期工事として進めており、すでに11ヘクタール完成した。この建設工事にシントリ社が100万ドル提供するという発表があった。プノンペン市から出るゴミは毎年13%ずつ増加しており、最近、政府はシントリ社に対して、1日当たりの収集サービスを300トンから1,000トンにまで増やすことを許可した。


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