TOP 組織概要 国内活動 現地活動 駐在員レポート 支援方法 講師派遣 地雷とは スタディツアー

     ■VOL 1  CMCボップイ安倍小学校にトイレ完成   ■VOL 9   水と農業
     ■VOL 2  日本の子供たちの絵がカンボジアの子供たちへ  ■VOL 10  地雷被害 (EMERGENCY HOSPITAL)
     ■VOL 3  第5軍病院  ■VOL 11  新学期スタート1 (モンドルバイ希望小学校 編)
     ■VOL 4  ラジオアンケート調査  - その1 -  ■VOL 12  新学期スタート2 (CMCボップイ安倍小学校 編) 
     ■VOL 5  ラジオアンケート調査  - その2 -  ■VOL 13  EMERGENCY HOSPITAL 
     ■VOL 6  ラジオアンケート調査  - その3 -  ■VOL 14  CMCボップイ安倍小学校 教師紹介 
     ■VOL 7  第5軍病院 - その2 -  ■VOL 15  VOICE OF HERAT を多くの人へ 
     ■VOL 8  CMCボップイ安倍小学校の子供たち


第五軍病院 --その2--
カンボジアにおけるエイズの深刻さを、第五軍病院で目の当たりにした。資金不足が深刻で十分な治療ができないという現実、病院でのエイズ治療を調査した。

第五軍病院では、現在 240人のスタッフが働いており、エイズやマラリアなど数多くの患者を受け入れている。患者さんの診察費、入院費は全て無料である。カンボジア政府が運営 しているが、資金不足は深刻である。 CMCの他に、 Family Health International (アメリカの NGO) のサポートがあるというが、不十分であるという。
病院敷地の隅に救急車3台が止まっていた。しかし、二台は埃まみれの走らない救急車である。
修理することができない。
スタッフの内訳
医者 15人
看護婦 67人
薬剤師 20人
その他、事務、ドライバー、
清掃係、料理人等

 エイズの現状
今回の調査に協力してくださったドクターである。左の写真は Director Men Sokhom 氏、右の写真は Khim Theng 氏。エイズ治療の現状の厳しさを、二日間にわたり、事細かに説明してくださった。

一日目の昼、 Khim Theng 氏に食事に招待された。 Khim Theng 氏宅に向かうバイクの上で彼が語った言葉を今も鮮明に覚えている。
「私は内戦の際、毎日のように7、 8 人の兵士を傷つけてきた。思い出すと今でも胸が痛む。今は、傷つき、苦しんでいる患者さんを一人でも救いたい。それが使命である」と。
現在、第五軍病院が抱えているエイズ患者の数は、外来患者130人、入院患者20人である。
緩やかではあるが増加傾向にあるという。外来患者は、いずれ入院しなくてはならない。エイズは治すことができない病気であり、延命、痛み緩和のための治療 が続いている。一度病院にかかった患者は一生、病院に通い続け、薬を飲みつづけるのである。 HIVウィルスに感染してから、エイズが発症するまで、半年から20年である。

さらに、発症し通院を始めてから、症状が重くなり入院を必要とするまで、早い患者は2ヶ月だという。何年も薬だけで、日常生活に差し支えない患者もいる。 入院患者は、入院開始後1年間生きられない患者、一方、現在入院8年目という人院患者もいる。一年に数名のエイズ患者が第五軍病院の病室で亡くなるとい う。病状やその進行は、個人差が大きく、適切な診察、薬剤の選択、量が重要である。
 外来患者
左の写真が外来病棟である。月、水、金の3日間エイズ患者の診察を行っている。診察日には20人ほどの外来患者が、診察に訪れるという。火、木についても患者が来れば診察に応じるという。

患者のエイズ感染経路 (多い順に)
@性交による感染  A注射、輸血による感染
B母子感染  C医療事故
 入院患者
入院患者の病棟である。窓ガラスが割れている所も多数見受けられた。その中では、20人の患者が生活を送っている。
実際、入院が必要な患者はたくさんいる。しかし、ベッドはあっても患者やその子供の食事や生活をサポートするためのお金がないため、これ以上受け入れられない。症状の重い患者を優先的に、受け入れているという。
 治療の実際
診 察に基づいた、薬による治療がメインである。ここで患者に配布している薬は、エイズの治療薬、つまり抗HIV薬ではない。ウィルスの逆転写を抑えたり、 HIVの増殖を抑える抗HIV薬は、高価であるため、購入は不可能であるという。AZT、DDI、DDCというような治療薬は、それぞれ一人の患者が一ヶ 月飲みつづける量を購入するのに50ドルかかるという。

病院では、エイズによって生態を防御している免疫機構が破壊されて起こる、日和見感染症や悪性腫瘍、中枢神経系の障害に対する薬の投与が行われている。各 種症状や痛みの緩和、延命のための治療が行われている。しかし、十分な量の薬を確保できていない。

当然、抗HIV薬を使用するほうが、断然、効果がある。しかし、第五軍病院ではウィルスの増殖を抑えられず、ウィルスによって弱った体を襲う病気の症状緩 和が、治療の現状であり、今後もこの方針でいくしかないという。もし仮に、抗HIV薬を手に入れることができたら、患者数が現在の150人から1000人 以上に膨れ上がるだろうとのことであった。
 現在不足している薬剤名、形状、及び量、効果
  1. Amphotericine B Injection 、 flacon 、 50 、骨髄炎抑制
  2. Fluconazol 200mg(Odaf) 、 tablet 、 200 、骨髄炎・カンジタ症の抑制
  3. Ciprofloxacine(Abact) 、 tablet 、 200 、腸チフス・リンパ腺症の抑制
  4. Cotrimoxazol 960mg 、 tablet 、 3000 、カリニ肺炎抑制
  5. Immunodium 2mg 、 capsule 、 500 、下痢抑制
  6. Hydrocortisone 100mg (Injection) 、 flacon 、 100 、血圧上昇
  7. Metronidazole 500mg (Injection) 、 flacon 、 100 、肝炎抑制
  8. Bactrium(Injection) 、 flacon 、 100 、カリニ肺炎抑制
  9. Omeprazol(Lanpro) 、 capsule 、 2000 、腹痛抑制
  10. Serum Pan Amin 500ml (Injection) 、 flacon 、 200 、点滴用
  11. Serum R.L 500ml (Injection) 、 flacon 、 500 、点滴用
  12. Serum NSS 500ml (Injection) 、 flacon 、 500 、点滴用
  13. Serum D.1/2 Saline 500ml (Injection) 、 flacon 、 500 、点滴用
※上記の量が必要であり、それ以上にある分にはいくらでもかまわないという。
  最低限必要な量ということであった。
 病院に必要なもの
病院には何が必要ですか?という問いに、Men Sokhom氏、Khim Theng氏両氏はとにかく薬であると強調した。「薬があれば延命できる、痛みを緩和できる。」と。

それ以外にも必要なものは多数ある。それらを優先順位の高い順に下に記す。
  1. 入院患者、その家族をサポートするための資金(病院運営資金、食事や日用品)
  2. 救急車数台(ラタナモンドールやコックドーのような遠方からエイズのみならず患者が多数訪れる)
  3. 各種装置(超音波治療を行う装置、血液検査を精密に行うための装置が特に必要である。その他にも必要な装置は多数あるが、この二つの優先順位が高いとのことであった。)
  4. 診察室、研究室、病室(患者増加に伴い、場所が不足している)
必要なものを列挙していただいた後も、 とにかく薬であると強調された。
 Khim Theng 氏の発表スライドより
Khim Theng氏は、患者の診察と同時に、エイズについて、多くの人に知ってもらうことがエイズ問題解決において重要であると述べた。患者を救うこと、そして 増やさないこと、この二つがあって初めてエイズ問題は解決に向かう。 Khim Theng氏が英語とタイ語で書かれたエイズに関する学会、講演で使用するためのスライドを使って仕組みや現状を説明してくださった。そのなかで以下のよ うな部分があった。
「ARV(AIDS Related Virus) Regimen は、d4T、AZT、3TC、NVP、EFVといった抗HIV薬を3,4剤併用しながら効果的に抗ヒト免疫不全ウィルス(HIV)の働きを抑える多剤併用 療法である。」

しかし、実際病院ではお金がなくて最善の治療を行えない。最善の方法を知りながら、その治療ができないという辛すぎる現実があった。
 エイズ病棟
入院病棟には、病気によって体の弱った患者が多数入院されている。寝たきりの患者も少なくない。患者の家族もベッドのわきで静かに座っていたり、食事の準備をしていた。
右の写真の女の子は、母親がエイズで入院している。この子が感染しているかどうかは、まだ体が小さすぎるため、第五軍病院では検査できないという。
 患者の声
とにかく痛みを和らげる、楽になれる薬が欲しい!それだけです。
 エイズ調査を終えて
カンボジアでは、今も増えつづけているというエイズ。その深刻さをあらためて感じた。
静まりかえった暗い病棟で、横たわる患者の方々を目の前にしたとき、鳥肌がたち、言葉が出なかった。弱りきった体で、必死に病気と戦う姿、死という現実。 自分がここに寝ていたら、と想像するだけでも恐ろしかった。辛く、悲しく、やるせない気持ちでいっぱいだった。涙がこみ上げてきた。カメラを向けるのが本 当に本当に辛かった。どうすることもできないのかと悔しかった。エイズ治療の最善の方法を知りながら、その治療を行えない現実が辛かった。

1992年、国連のUNTACがカンボジアにはいってから、急速に広がったというエイズ。
また、カンボジア人のあいだでこんなこともよく言われているらしい。「シェムリアップの日本人ガイドは、2、3年で死んでしまう。エイズでね」と。事実か どうか確信はないが、火のないところに煙はたたぬ。エイズの問題は一つの国の問題ではない、協力し合っていくことの必要性を強く感じた。

苦しむ患者の方々のためにできること、そして、これ以上辛い思いをする人が増えないようにすることを考え、行動したい。

Vol.8
現地レポート トップページ


Copyright ©Cambodia Mines-Remove Campaign All Rights Reserved